
ヘッドホン:Victor HP-RX500とAIWA HP-X122との比較レビューです。
この2機種は音質の良い低価格帯ヘッドホンで世代交代とも言える新旧の定番機種です。
「本当にVictor HP-RX500は名機AIWA HP-X122の後を継げるヘッドホンなのでしょうか」
これを命題として比較してみたいと思います。
・Victor HP-RX500
AIWA HP-X122が生産終了になった前後の2006年8月1日に発売開始されました。
低価格ながら装着感も音質も良いと徐々にネットを中心に評判を得て、Amazon
圧倒的に装着感が良く、フラットで華やかな音の抜けが良い音質です。
AIWA HP-X122より1000円程度高い価格設定ですが、その価格分がどこに振り分けられているのか分析したいと思います。
◇カテゴリ:ヘッドホン,Victor HP-RX500
・AIWA HP-X122
低価格ながら音質が良いとヘッドホンファンの圧倒的な人気を得ていましたが2006年のAIWAのオーディオ事業撤退により生産中止となってしまいました。
様々な改造が生み出されヘッドホンファンを熱狂させました。
フラットに近いドンシャリ(低音高音より)で、やや硬めで乾いた音質です。
◇カテゴリ:ヘッドホン,AIWA HP-X122

音楽性の比較です。
選んだ曲は、Rock、HipHop、JPopとかなりジャンルは狭く、さらにJPopもPunk Rockです。
ですが得点やジャンルより楽器の傾向に注目すると様々なジャンルに応用して想像することができると思います。
点数はお互いの平均を5点として10点満点で採点しています。

◇Foo Fighters(The Pretender)
Rock代表はFoo Fightersの「Echoes, Silence, Patience And Grace」からのシングルカットソング。
50回グラミー賞で2部門にノミネートされたり、迫力のPVがiPod Touchで使われたりと話題の曲。
Foo Figthersらしい空間表現と迫力を併せ持つ疾走感あふれるハードロック。
シットリとしたAメロのギターリフと相反するサビのディストーションギター。
スピード感をひたすら煽る力強いスネアドラム。
言葉のかたまりをぶつけて来るボーカル、空間をこじ開けるかのようなクラッシュシンバルなどをピックアップ。
| 比較対象/ヘッドホン | Victor HP-RX500 | AIWA HP-X122 |
|---|---|---|
| ギター | 若干迫力が弱いが抜けが良く空間表現に優れる | 音場が近く若干篭る |
| スネアドラム | ウェットに鳴らし広がりと重さがある | 軽くドライに鳴らし直線的。シンバルに埋もれる |
| ボーカル | ひたいの辺りに広めに定位 | 後頭部から前頭葉の辺りに定位 |
| シンバル | 擦れて鳴らし余韻がある分解能が高い | 擦れて鳴らしタイトで軽い |
| バスドラム | 「ダッダッ」と柔らかく重い | 「ダチダチ」と倍音(高音要素)が強めで軽い |
| 得点 | 6 | 4 |
音場の広さと解像度の高さでVictor HP-RX500が少し有利に感じました。
しかし楽しさに関して言えば差は少なく、ボーカルはよく似た鳴らし方をしていて、音場の比較でしか判別しにくかったほど。
AIWA HP-X122の軽い硬めの音作りが比較的合いませんでした。
しかしヘッドホン全体で考えると2機種とも乾いた音作りが合わず、The Pretenderの迫力の再現性は乏しく感じます。
Rock代表は、どちらも迫力不足ながら空間表現でからくもVictor HP-RX500の勝利となりました。

◇Nas(Hip Hop Is Dead)
Hip Hop代表はHip Hopは死んでも自分の力で再生させるとHip Hopと己への決意をリリック(歌詞)にこめた曲。
Lenny Kravitzの「Rock'n Roll Is Dead」などRock終末論は過去たびたび起こりますが、そんな虚弱体質を内包するRockとは異なるHip Hopの力強さ見せ付けられた気がします。
淡々と擦れた声でライムを刻むボーカル。ヒップホップらしい緩いキック(バスドラム)。
同じく擦れた音作りで破滅を匂わすシンバル。弱めながらひたすら重低音で曲の雰囲気を作っているベースなどに注目。
| 比較対象/ヘッドホン | Victor HP-RX500 | AIWA HP-X122 |
|---|---|---|
| ボーカル | やや奥まり擦れぎみ解像度や定位が良い | 定位が広く擦れが強い |
| バスドラム | 緩く鳴らすが量感と重さが足りない | 締まって重く聴かせる |
| シンバル | 奥まるがやや擦れた音が良い | 硬く華やかに量感もある |
| ベース | 緩いが量感が乏しくバスドラムに埋もれる | ボソボソとして量感が乏しい |
| 得点 | 4 | 6 |
この曲の雰囲気を作るベースとシンバルをハッキリと聴かせるAIWA HP-X122に若干有利に感じます。
Victor HP-RX500はコンサート会場のような反響の少なさと低音の音の篭りを併せ持つ面白い音場です。
解像度が若干高いです。
AIWA HP-X122は、録音スタジオやライブハウスのような近い感じになり、篭りが強いのに自然で気になりません。
シンバルを主に華やかな曲調になり、緩い低域をほどよく硬く聴かせています。しかし超低域が聴き取りづらいです。
どちらもボーカルは擦れぎみで甲乙つけがたいです。
Hip Hop代表は、僅差でアタック音(弾き始めの音)の強いAIWA HP-X122の勝利となりました。

◇↑THE HIGH-LOWS↓(日曜日よりの使者)
JPop代表はHONDAのCMソングとしても有名だった曲。
彼らのジャンルは根っこからPunk Rockですが、この曲は歌いやすい耳に残る歌詞や曲調で歌謡曲としても優れています。
独特の人を食ったような擦れた声のボーカル、暖かみのある電子ピアノとアコースティックギター。
タンバリンかのような軽いオモチャのような音のハイハット。
(もしかしたら本当にタンバリンかも。オープンで叩いてクローズでミュートしていると思うのですが…わかる人いたら教えてください。)
スキャットを用いて気持ちの良く空間を広げるコーラスなどを抽出。
| 比較対象/ヘッドホン | Victor HP-RX500 | AIWA HP-X122 |
|---|---|---|
| ボーカル | 若干擦れて柔らかめに鳴らす | 乾いた擦れた尖った音で鳴らす |
| ハイハット | 柔らかめながら量感豊かにハッキリで上方に定位 | 若干奥まり艶やか |
| 電子ピアノ | 暖かみのある柔らかめの音で良い | 硬めでやや乾いている |
| アコースティックギター | アタック音が弱く暖かみがある | アタック音はあるがやや奥まる定位はハッキリ |
| コーラス | 遠く広くに音が抜けて良い | 乾いて軽い感じに鳴らし耳周辺で明確 |
| 得点 | 5 | 5 |
この曲は甲乙を付けることはできませんでした。
元々音の傾向が乾いている点で似ていて、音の抜けが良いVictor HP-RX500、華やかなAIWA HP-X122で好みが別れる程度です。
Victor HP-RX500は定位を広範囲に遠くに取ることで暖かみがあり、柔らかめな音で包みこみ暖かさがあります。
AIWA HP-X122はアタック音が強めなため定位がハッキリし(解像度が高いという意味ではない)ドラムや他方向から来るコーラスが元気に聴こえます。
どちらもこの曲には合っていると思い差をつけることができませんでした。
ただこうやって書くと大きな差があるかのように錯覚しますが、本当に些細な差です。この曲に関しては特に良く似た音作りに感じます。
JPop代表は、どちらも乾いた音作りがマッチし引き分けとなりました。

音楽性の結果です。
| 比較対象/ヘッドホン | Victor HP-RX500 | AIWA HP-X122 |
|---|---|---|
| Foo Figthers | 4 | 6 |
| Nas | 6 | 4 |
| ↑THE HIGH-LOWS↓ | 5 | 5 |
| 合計点(最高30点) | 15 | 15 |
音楽性は、引き分けとなりました。
Victor HP-RX500は、アタック音がある楽器を上手に鳴らすのでPunk RockやJPopが合います。
触れなかったクラシックは得意とはしませんが、AIWA HP-X122よりは音場を広く解像度も高く鳴らしてくれます。
AIWA HP-X122は、篭り気味ながら硬く元気良く鳴らし、より多くの曲を楽しく聴かせます。
アタック音が耳に刺さるぐらいですが、JPopやHip Hopが合います。
触れなかったTechnoは、AIWA HP-X122の方がメリハリ良く鳴らします。
クラシックでも、弦楽器や金管楽器はAIWA HP-X122の方が得意とし勝る場合もありますが、音の篭りが目立ち解像度が劣ります。
乾いた音作りという点でよく似ていながら、音場が広く暖かみのあるVictor HP-RX500と篭るが元気良く鳴らすAIWA HP-X122という違いがわかりました。
性能の比較です。
| 比較対象/ヘッドホン | Victor HP-RX500 | AIWA HP-X122 |
|---|---|---|
| 解像度 | 6 柔らかいが分解能が高い | 4 硬いが篭る |
| 音場 | 7 抜けが良く広い | 3 篭り耳の傍に密集 |
| 原音再現性 | 6 フラットだが超高音が弱い | 4 低音と高音が強い |
| 遮音性 | 3 開放型のように低い | 7 高くはない |
| 装着感 | 9 軽く痛くならない | 1 耳、頭頂部が痛くなる |
| 合計点(最高50点) | 31 | 19 |
性能は、大差でVictor HP-RX500の勝利となりました。
解像度は、6対4もの差は無く5.5対4.5としたいほどの微妙な差です。
音場は、Vicotr HP-RX500は広いので点差が開きました。
原音再現性は、Victor HP-RX500がフラットですが、AIWA HP-X122のあえて若干ドンシャリな音作りも音楽性の得点を増やし非難すべき所では無いでしょう。
遮音性は、AIWA HP-X122が決して良いわけではなくVictor HP-RX500が布製イヤーパッドでかなり悪いため大差が開きました。
装着感は、Victor HP-RX500の装着感の良さは他を圧倒しており、逆にAIWA HP-X122は音質と価格のために装着感を切り捨てていて大差となりました。

総合得点の結果です。
| 比較対象/ヘッドホン | Victor HP-RX500 | AIWA HP-X122 |
|---|---|---|
| 印象 | 乾いた軽い音で装着感が良い | とがった元気の良い音 |
| 音楽性 | 15 | 15 |
| 性能 | 31 | 19 |
| 総得点(最高80点) | 46 | 34 |
全体を通してVictor HP-RX500の勝利となりました。
結果を見ると、音楽性では差が無く、性能のみの差ということになりました。
音楽性では、個人的にはAIWA HP-X122の方がやや上だと思っています。
Victor HP-RX500は、無難な音作りで低価格帯の解像度の低さが目立ってしまいます。。
低価格帯のくつがえせない解像度の低さを柔らかい音で露見させてしまっているのです。
AIWA HP-X122は、低音と高音を強くしアタック音を派手に聴かせることで、解像度より楽しさというベクトルで勝負しています。
引き分けに持ち込めたのは、Victor HP-RX500は正攻法で勝負し、できる限りフラットにしたことと音場を広くすることで勝負したのが加点となりました。
Victor HP-RX500は攻めに転じず、守りを固めたという印象を私は感じたのです。
性能では、個人的にはVictor HP-RX500の圧倒的な装着感のみでも勝てると思います。
やはりAIWA HP-X122は価格を下げることと音質を向上することに意識が行き過ぎています。
装着感というのはヘッドホンにおけるかなり大切な要素だと個人的には思います。
また、音場や原音再現性など低価格帯でも誤魔化さなかったVictor HP-RX500の意地が効きました。
私は、音の好みで言ったらAIWA HP-X122です。
しかしAIWA HP-X122はすぐに頭が痛くなってしまって短時間でしか使いません。
Victor HP-RX500はパソコンや家事をする時などに使っています。
低価格なので雑に扱えるし装着感が良いので長時間使えます。
ここで、最初の命題に戻ります。
「本当にVictor HP-RX500は名機AIWA HP-X122の後を継げるヘッドホンなのでしょうか」
私の答えは否です。
え?そうなの?良さそうなのに…と思われるかもしれませんね。
なぜ否かと言うと、全く別の方向性を目指したヘッドホンだからです。
音楽を楽しむことだけを考えたヘッドホンがAIWA HP-X122。
正攻法で限界に挑戦したヘッドホンがVictor HP-RX500。
そして、そのどちらにも「できるだけ低価格で」という言葉がつきます。
もしAIWA HP-X122が今も変わらず生産されていたとしても、Victor HP-RX500は関係なく売れ続けていたと私は思います。
Victor HP-RX500はAIWA HP-X122の後を継ぐ必要などは無く、己の実力のみで輝きを放ち続けることでしょう。
Victor HP-RX500は、音質にも原音再現性にも装着感にも妥協しなかった。
その結果、価格が1,000円ほど高くなったと考えるべきでしょう。
製作者の強い思いを敏感に感じ取り、自然とクチコミが巻き起こるヘッドホン業界は本当に素晴らしいです。
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なるほど。RX500は低価格ながら真面目な子なんですね。
2月の上旬には後継機のRX700とRX900が発売されるそうです。
http://www.japancorp.net/japan/Article.Asp?Art_ID=41614
「本当にVictor HP-RX700/RX900は名機HP-RX500の後を継いだヘッドホンなのでしょうか」
レビュー楽しみにしておりますww
明快でイメージがつかみやすいのがとても良いと思います。
HP-RX500は欠点の少ないヘッドホンという印象ですが、
高音が弱いのは布製イヤーパッドに吸収されてしまうせいでしょうか。
装着感は抜群だからトータルとしては悪くないでしょうね。
HP-X122の後継機となりえないということは、
改造しないで気軽に聴くヘッドホンとして使ったほうがベターという意味に受け取りました。
ただ私だったら分解できるなら木粉粘土塗って音色の変化を確かめてみるかもw
はじめまして〜。
Victor HP-RX500はほんと真面目な子ですね。生真面目すぎて手を抜くことをしらないというか…要領悪いとすら感じます。
音質のみにこだわっていたら、また別の神機と呼ばれた気もします。
Victor HP-RX700、Victor HP-RX900出ますね〜
7000円以下なので欲しくなってしまいますね。
Vicotr HP-RX900は、すごい評価が分かれた面白いアコースティックレンズを搭載しているので、その点も興味があります。
>「本当にVictor HP-RX700/RX900は名機HP-RX500の後を継いだヘッドホンなのでしょうか」
えっ!!Σ
つまり、両方かって比較しろってことですか!?w
いやそりゃ欲しいですし、比較レビューも書いてみたいですが、財布と時間と相談してみます…w
当たり前のようにレビューすることになっている流れにかなり笑いましたw
>えちごやさん
まず、ヘッドホン画像掲示板の改造レビュー、掲載させていただきました。
ありがとうございます。
audio-technica ATH-CK32やSONY MDR-E0931も近いうちアップしたいと思います。
>比較レビューすっかり名物化しましたねw
ありがとうございます。
比較レビューはかなり時間かかって大変なのでそう言ってもらえると嬉しいです。
>高音が弱いのは布製イヤーパッドに吸収されてしまう
なるほど。可能性ありますね。
超高音が落ちるのはドライバーの特性かと思ったのですが、超高域は吸音されやすいようですし。
イヤーパッドを合皮に変えて試すと何かわかるかもしれませんね。
>改造しないで気軽に聴くヘッドホン
そうかもしれません。
せっかくのフラットな音質がもったいないのでバランスを崩しやすい改造はしないほうが無難かも。
でも私も改造したいと思っていますw
問題は時間との戦いだーヽ(`Д´)ノ